高校の演劇部で間違えて学んでしまう事。

当時、僕の学校では、高校の部活の顧問の先生はど素人の集まりであった。

そもそも、学校の先生とは、「学校の先生」になろうとした人達であって、
「演劇の指導者」や、「体育会系の指導者」になろうとしていたわけではない。

恐らく、上司の先生から。
「君は国語の教師だから、演劇とかできるよね。」とか
「高校時代、野球部だったんでしょ? 野球部の顧問担当して。」とか

そんな感じで顧問を担当する場合があったのだろう。

まぁ、特別に給与に顧問手当とか加算されるんだろう。
なので中には部活を掛け持ちしている先生等もいた。

勿論、中には、「中学、高校の先生になったら、○○部の顧問になるのだ!そして、生徒を全国大会に導くのだ。」と考え、実践している先生もいるであろう。
たまたま入学した学校に、素人の範囲を超えた顧問に出会えて、全国大会等に出場する経験ができたりする事。これは幸せだったろう。

で、タイトルに戻る。

中学時代の演劇部の基礎練は大変ハードだった。
当時、私が在籍していた中学校は、男子校で、中高の生徒が合同で稽古する演劇部だった。

その為、放課後になると、中学1年生から高校3年生まで集まり、基礎練が開始される。

中学1年の当初から基礎練メニューが高校生と同じ内容だった。
集合したら、20分程度のマラソン。
マラソンから帰ってきたら、筋トレ・ストレッチ30分。
(腹筋百回、腕立て50回等・・・。)
筋トレが終わったら、発声練習30分
基礎練で計1時間半。
もう、ここでかなり疲れている(w)

で、残り1時間弱位、ダベって終了(w)、演技のレッスン無しで下校。

それを平日放課後毎日・・・。土・日の練習も全然あったし。

13歳の子ども心に思ったものだ。
「あれ、俺、文科系に入ったんじゃなかったっけ・・・?」
とか、
「ふむ、教室で腕相撲で負けない。俺、いま、かなり強い。」
とか、思った(笑)

もう、完全、我が母校は、男子校の体育会系演劇部であり、
高校生と同じメニューを中学生にやらせる所だった。

当時は、それが正しいと思っていた。

はっきり言う、間違いだ(笑)

何故なら、中学時代から、「腰痛」持ちになったし、「肩こり」も酷かった。
(俺馬鹿だから、この痛みは成長痛かもって思ってたw)

おまけに成長期だ。中学1年から成長がストップした。
(俺更に馬鹿だから。帰ってからも黙々と筋トレしてた。)

中学時代から、上記のようなトレーニングを諸々やっていたから、
高校時代になったら、楽々やれるようになっていた。

それでも、「これが我が母校の伝統だ!」と思って、
卒業するまで、同じ要領で後輩を指導したり、黙々と続けていた。
「腰」も、「肩こり」も継続し、あちこち身体が痛かった。
なので、机の前での勉強に力が入らなく、仕方なく、全授業寝ていた(笑)

で、演劇専門の大学に入る。
やわーい連中ばっかりだった。基礎練なんぞした事もない輩ばかりだ。
実技のレッスンとかもう、お遊戯だ。

「ふむ、甘いな、甘い。こんな甘いレッスンで演技が上達するか!」
とか思ってた。

だが、かなりの効用があった。
「肩こり」「腰痛」が一切なくなったのだ!

その時、私は思ったのだ・・・。
「俺の6年間は一体・・・。」「まてよ、俺の6年間の基礎練が間違っていたのか?」
「こんな演劇体験初めて・・・w」とか(w)

つまりだ。
生徒も、顧問も誰も、正しい演技のレッスンなんぞ把握していなかったのだ。

当時入ってくる情報は、「遊民舎はこんなレッスンをしていると聞く、やってみよう!」とか「第三舞台はこれほどハードなんだそうだ!」とか「篠崎システムはこうらしい」とか、もう、中学の頃から、スペシャルハードに身体を虐め抜いていた。

で、中学生の頃から慢性的に身体が疲労していた。
しかし、大学の「やわーい」。実技レッスンを受けたら、身体が軽くなった。

大学3年の頃には、無駄な「筋トレ」とか大っ嫌いになっていた。
ただ、回りの同級生は、私とは逆に、「筋トレ」重視になっていた。

もう、既にその体力作りの部分は中高で腐る程やっていたから、その時の私には一切興味がないし、推奨もしたくなくなっていた。

つまりだ。筋トレ重視の私の中高の6年間は「根性論」でしかない。
しかも、「筋トレ」としても「間違った筋トレ」である。

ーー以下重要ーー

やってはいけない筋トレ (青春新書インテリジェンス)(青春出版社)のまとめ
引用元
http://bukupe.com/summary/5344

■毎日筋トレをしてはいけない
 ・筋トレは回復させる時間、休息が必要
 ・回復に必要な時間は48~72時間、効果的な筋トレは週に2~3回が適当

■筋トレは回数多くやってはいけない
 ・筋肥大をさせるには、筋肉が出せる力の70~80%の負荷が必要
 ・10回前後しか反復できない程度の負荷が最適 ・回数よりも負荷が大事で、15回、20回と繰り返せても筋肥大は望めない

■腹筋運動だけをしてもお腹は割れない
 ・6パック(お腹が6つに割れた状態)は腹筋運動だけではできない
 ・体脂肪10%以下にならないと、6パックはハッキリと見えない

■筋肉痛のある筋トレはやってはいけない
 ・筋肉痛はやった感があるだけで、効果とは無関係

■3食きちんと摂ればプロテインはいらない
 ・筋肉が増えるのは同化が異化を上回ることが大事
 ・同化:周囲からアミノ酸を摂り込んでタンパク質に合成し、筋肉を作る
 ・異化:タンパク質をアミノ酸に分解する作業
 ・筋トレ前の2~3時間前に食事でタンパク質を摂れば、同化が起きる
 ・筋トレ前の2~3時間前に食事で炭水化物を摂れば、異化は防げる

■筋トレは1セットだけやっても意味がない
 ・1セットだけでは筋肉の本来持っている力の30~40%しか発揮されない
 ・3セット行なって始めて、ほぼ100%の筋繊維が鍛えられる

■体幹だけを鍛えない
 ・理想の体型を作りたいなら、体幹よりも下半身を鍛える
 ・下半身は、筋肉量の半分以上を占める
 ・体脂肪を減らすためには、下半身を鍛えるほうが効果が高い

■重りはスピーディーに動かしてはいけない
 ・抵抗を受けながら、ある程度ゆっくり動かさないと筋肉には効かない
 ・適切なスピードは、重りを1~2秒かけて上げて、2~4秒にかけて下ろす

■筋トレ前に長時間ストレッチをしてはいけない
 ・静的ストレッチ:ヨガのような1つ1つの筋肉を伸ばして静止する
 ・筋トレ前に静的なストレッチをすると、リラックスし筋肉が発揮できる力が低下する
 ・静的なストレッチは筋トレ後のクールダウンで行なうのがベスト

■筋トレ前にジョギングをしてはいけない
 ・筋トレの主なエネルギーは、糖分
 ・ジョギングの主なエネルギーは、糖分と脂肪の両方
 ・筋トレ前にジョギングすると、糖分を使い果たし、筋肉がガス欠してしまう
 ・双方の効果を最大に引き出したいなら、筋トレ⇒有酸素運動の順番で

ーーここまで・・・。ーー

との事だ。

フィジカル系を重視している指導者・顧問の方、是非とも上記を把握しておいて頂きたい。

特に子どもの頃の成長期は重要だ。
身体が出来上がってから鍛えるのは構わない。けど、それ以前に鍛え過ぎるのは私は推奨しない。

世の中には、20年以上前と比較し、有効な演技トレーニングの書籍や方法論が増えた。中学の頃から、毎月、新宿の紀伊国屋書店に通って、戯曲を探していた私からしてみるととても恵まれた時代である。

高校時代になると、私が推薦した戯曲が通りまくった。
男子高だった為、男だけの戯曲は当時、貴重だったのだ。
紀伊国屋書店で朝から晩まで海外の戯曲も含めて、わけもわからぬまま、戯曲を中学時代から貪り読んでいた。神田の古本屋巡りもした。

春の大会、秋の大会の上演の為に。

今、私の母校は共学になり、中学の演劇部と高校の演劇部は分けられたときく。
少々、残念な部分がある事も否めないが、中学生の頃から、高校生と同じメニューはやはり推奨できない。

もちろん、そのような6年間を過ごしたから今の私があるのかもしれない。

けれど、教育機関に、できうるならば、各部活動に、適切な「指導者」がいる事を強く願いたい。素人は所詮、素人だ。

平田オリザ氏がそれをこの20年間変えてきた事も理解している。彼の功績は大きい。

けれど、やはり、適切な量の「筋トレ」「運動量」も大切だ。

演技トレーニングは極論バランスである。
「文学」面だけによらず、「体力作り」も重要だし、
「演技の遊び心、」、「即興力」、「発声練習」、も身につけたい。

そして何より、「継続」が大切である。

「お遊戯」トレーニングと、「軍隊的」トレーニング。
更には、精神に負荷がかかる「文学的、追い詰め型」俳優論。
(日本って、「精神異常者」を演じる事に魅力を感じている人が多い。)

この辺り、今だ混在している演技トレーニングに、私は常に一石を投じ、改善したい。

心も身体も壊れてしまうトレーニングは、全て間違いだ。
ましてや、演技で「怪我」する事なんて愚の骨頂である。

痛めつけ、追い詰めて、「演技している」って実感している人は、
何故、演技をしたいと思ったのか?初心に戻ってもらいたい。